木村善幸さん 無観客トライアル公演 リポート Part3
< 木村善幸さん 無観客トライアル公演 Part2より続く。
☆音響さんの景色
リハーサルが行われた。
音響さんは木村善幸さんと古い付き合いとの事で、阿吽の呼吸で音量・音質・音圧に命を与えていく。
マイクの置き位置も様々に再検討されて行った、指向性もあるのだろう。
良い音響効果を得られるまでは、その曲をもう一度再演させていくこともあった。
再演させる方もプロ。
再演する方も、これまたプロ。
素人には全く分からない高水準のレベルで、理想の音響空間が創られて行く過程。
そう。
創られて行くのだ。
舞台の角度や深度、それにおそらく、気温や湿度も関わる深い世界に、ほんのわずかに触れることができた
、、、気がしている。
目に見えない分、素人にはすぐには分からなかった。
しかし、聞きなれたはずの津軽じょんから節。
それが、本番で別の命の輝きを見せてくれた時、うっすらと確信に変わていった。
理想の音響空間は、熟練のプロフェッショナルの力で、新たな生命力を宿す。
舞台の凄み。
☆リハーサルの景色
音響さんの調整と並行して、無観客トライアル公演「世去れ節」のリハーサルが始まった。
COVID-19蔓延の閉塞した世界に、強いメッセージ性を秘めて。
まずは三味線
そして和太鼓
妥協のないリハーサル。
本番前に、ここまで力を使って大丈夫かと思ったのは素人ゆえの邪推。
リハーサルにここまで力を遣うのがプロなのだろう。
これが舞台への、演奏者の誠意なのだろうと思う。
体力は勿論のこと。
精神力も要求される。
このハードなリハーサルの向こうに待つ本番に、最高を引き出せるのかと。
これはおそらく、演奏者自身の内なる声。
もっと言うなら、このハードなリハーサルは、木村善幸さんとお弟子さんたちの練習の日常なのだろう。
私なぞは、このリハーサルで骨抜きにされてしまったのだ。
まるで自分が津軽三味線や和太鼓に向き合い続けているかのような錯覚。
一曲のリハーサルが終わって、「ふう(´∀`*)ウフフ」となっている処へ音響さんの「もう一回お願いしていいですか?」の声に、「えええ~(◎_◎;)」となっていたのは私だけ。
「はい分かりました!!」と再び全力演奏を続ける木村善幸さんとお弟子さんたち。
無観客がコンセプトなので、これ以上の表現は避ける。
ともかく、世界標準という舞台の純度を、私はここで知らされた。
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