私の正月映画2026~①
☆元旦から三日にかけて
任侠の移り変わり
今年に入って、久々に映画作品でも観てみるかと思いましてね。
それでなにか正月ですからテーマを持って観たかった。
それですぐに浮かんだのが、昨年中国料理布袋に飾ってあった日高晤郎さんのサイン色紙絵です。
この絵は、東映の緋牡丹博徒シリーズの最高傑作と言われる、お竜参上での雪の今戸橋での名場面。
ヤクザが大嫌いな晤郎さんが何故この場面を選んで、わざわざ色紙絵と言う形で遺されたのかが、最初は疑問で疑問で。
ところが、以前は、任侠映画という「侠客」の世界を描いたものだったのですね。
ここで言う侠客とは、江戸時代に義理や人情を大事にし、弱い者を助ける武力集団の事。
ただ、侠客が本格的に活躍していた江戸時代を描いた作品は、時代劇となりますよね。
つまり任侠映画とは、その侠客たちががまだ残っていた明治~昭和初期を描いた作品と言えます。
そういう意味ではあの鬼滅の刃も、形を変えた任侠映画と言えるのかもしれない等と、私、思います。
と言う訳で今日は、今年の正月は、私、こういう作品をこの順番で鑑賞しましたというご報告であります。
1,緋牡丹博徒 お竜参上
晤郎さんの色紙絵から教わった、任侠の世界。
そう。
まずは、緋牡丹博徒。
こういう路線の映画を、単なるヤクザ映画としてこれまで見向きもしなかった私の学の無さ。
まったく恥ずかしい限りです。
我が家では、晤郎さんの色紙絵からネットでのお竜参上を鑑賞して、これではいけないという程に感動してしまってDVDを買いました。
ヤクザ映画と言うのは、自らの組織利益のために行う他組織との抗争を描いた作品です。
ところが任侠映画と言うのは、博打や芸能興行などで生計を立てる人たちの、義理人情や道理を描いた作品。なのでむしろ武士の映画に近い。
そして主人公の矢野竜子の所作や言葉遣いに気品があふれて居る。
本当に良い作品に巡り合えました。
2,男はつらいよ 第一作
矢野竜子、通称、緋牡丹のお竜さんが博徒(博打を生業にする人)ならば、その路線で何が生まれたのかと調べていたら、こちらに行き当たりました。
男はつらいよ、です。
お竜さんが博徒なら、こちらの主人公、車寅次郎はテキヤ。
テキヤさんと言うのは、お祭りで露店を出すあの方々を言います。
漢字で書くと、的矢。
射的ですね。
この商売、色んなやり方がありますが、きちんと的(まと)に矢を当てると大きいという意味で、的矢なんだそうです。
お金を出して矢を買って、それが的に当たれば景品が出るという一種の賭け事で、博徒とも重なる商売。
それで博打場としての意味合いもあったようで、江戸時代から大正時代までは、どうも好ましくない遊技と言う事で取り締まりも厳しく、ここから生まれたのがヤバ(矢場)イ。
ヤバいよヤバいよ~の、あれです。
今では、おもちゃの銃が主流ですけどね。
あれにはこういう歴史もあるのだそうです。
車寅次郎、通称寅さんが得意としていたのが、啖呵売。
口上を述べて、そう価値のないものまでも売りつけるあれです。
口上を述べての販売、そう。
あの外郎売も、啖呵売ですね、あちらは価値があるものですが。
それで、男はつらいよシリーズは沢山出ておりますが、ここはやはり第一作でしょう。
シリーズ物は、第一作に監督や脚本などに、本当にやりたいことが詰まっているはずですから、と。
観て正解!
緋牡丹博徒で触れた礼節や仁義が、ここではテキヤの兄に形を変えて遺されていて。
しかし緋牡丹博徒ほど洗練されていなくて、いかにも少しおっちょこちょいな寅さんらしいこだわり方。
ここに、博徒同士ではなく、テキヤの寅さんと庶民の間に何とも言えない優しい人情がしっかり視える。
江戸時代の風情を遺す明治の博徒と、そこから時代は下って大戦をはさんで明治の博徒の香りをほんのり残す昭和中期のテキヤの可笑しさ面白さ。
暴力団を表す「ヤクザ」ではなく、弱い者の味方としての「任侠」の時代の移り変わりを見るようでした。
ちなみに、男はつらいよシリーズは、元々任侠映画のパロディとしての面も持って生まれたのだと、映画鑑賞の後の調べものの過程で、私、はじめて知りました。

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