紺屋高尾・考
☆圓生百席・紺屋高尾
全部そろえるにはお高い「圓生百席」
当時はLPレコードとしての発売だったが、のちにCD化。
そのCD総数は百十六枚。
しかも現在完売。
ところが実は小売りもされていて、それならいまだに手に入る。
そんなわけで私の手元に、圓生百席の14、「紺屋高尾」がある。
(同CDは2枚組で、もう一方には「後家殺し」も収録されている)
「昭和の黙阿彌」とも呼ばれる劇作家・宇野信夫さんの言葉を借りれば、「圓生の紺屋高尾は、他の追随を許しません。」となる。
紺屋高尾を、「こうやたかお」と読ませるのは圓生独特で、一般には「こんやたかお」で通っているという。
しかしその実、正しいのは圓生の唱える「こうやたかお」
日本語の乱れの一つに、文字から言葉を覚える人が多くなったためにこういう現象が起こるのだけれど、本来はこうやたかおと読んだものらしい。
「圓生は古い修業をしているんです、だから一層値打ちがあるんです。」と、宇野さんは言う。
古い修業とは、決して文字からだけ学ばず、口から口へと伝わってきた言葉を身につける事だという。
こういう話に触れるだけで、晤郎さんが何故「こうやたかお」と読んだのかが分かる。
口から口へと伝わってきた言葉を身に着けてらっしゃるのだ。
そして私達晤郎さんファンは、何の疑いも持たずに紺屋高尾を「こうやたかお」と読める。
またおそらくたぶん、晤郎さん映画デビューの頃には全盛期の力を発揮し始めた圓生さんのラジオに影響を受けないはずがないと推測できる。
まぁ今日はこれ以上書きますまい。
長くなる。
知れば知るほど日高晤郎さんの中に、六代目 三遊亭圓生さんが見えてくるのだ。
お二人とも、実に知的で品が良い、そして芸に厳しく、敵も多いが人気も高い。
皆さんもご興味ある方は一度、圓生さんの「らくだ」をお聴きくださいまし、、って、紺屋高尾じゃないんか~~い!!