静かに目を閉じて、歌人の歌を聴く晤郎さん。
時折、目を開いて穏やかに天を仰ぐ。
晤郎さんは、とてもしあわせそうだった。
私は静かにシャッターを押した。ここに居ない誰かのために、これを伝えねばという思いが強く沸き上がった瞬間だった。

スタジオで直接、この最後のチャラを一緒に歌えて良かった。あの晤郎さんが、カフ上げを忘れてスタジオで歌うシーンが、今も瞼に焼き付いている。この命懸けの晤郎さんのチャラへの思い。とても哀しく、とても大切に変わっていった2日間となった。現場を目にすることのできた私は、しあわせだった。

そして翌日、最後の放送。2時台はその「チャラ」で幕を開けた。正真正銘、これが晤郎さんの、最後のチャラとなった。

前日の舞台で歌われた「チャラ」。そんな体調ではないはずなのに、袖から出て来た晤郎さんはステップを踏んで見せた。胸いっぱいの、私達への明日への贈り物だった。