手紙には、絶対に相性の良い筆記具が必要。
でないと、どうにも文字の納まりが悪い。
最初の頃は、黒のボールペンだった。ボールペンでも最悪な奴は、時たまインクが多めに出る。
そうなると、ペンを持つ手に、乾ききれないインクが付いて、便箋が汚れる。
便箋が少しでも汚れたら、一から書き直し。結構ツライものがある。
ボールペンは少し太めの加圧インクの物に、最終的には落ち着いた。
ここでは、一行書き終えるごとに、余りインクが有ろうと無かろうとペンの先端をティッシュで逐一拭き取るのも、私の流儀。

晤郎ショーから、パイロットの万年筆を頂いた事がある。
お便り大賞の記念品として。
しかし頂いてから、丸一年は万年筆を使う気にはなれなかった。
生まれてこのかた使ったことが無く、相性に不安を感じていたからだ。
そう、この頃には加圧インクのボールペンが私の体の一部。
それから浮気する気は一切起きなかった。
ある時、STVの廊下で晤郎さんから「和彦さん、そろそろ万年筆の手紙出してみてよ。」とすれ違い様に言われ、一念発起。
翌週から万年筆に切り替え。
2週間ほど違和感があった。しかしそれ以降、万年筆が体の一部に。
そう、ここから晤郎さんへの手紙は、加圧インクボールペンに戻れなくなってしまったのだ。
それくらい、晤郎ショーで頂いた万年筆は、私の魂の一部と言っていい位に馴染んでいる。

次に便箋。
当初は横書き。
しかし晤郎ショーでの学びから、縦書きに変更。
やはり最初の頃は横書きに慣れていたため、相当な違和感があった。
そう、縦書きに換えてからボールペンインキの余計な部分が手に付いて、便箋を汚すようになったのだ。
横書きは、左から右。
縦書きは右から左。
つまり、右利きの私は、縦書きで汚すという事。
さてそういう訳で、万年筆になってからは、インクの滲み具合が重要なポイントとなる。
「縦書きで、インクの滲みが良く、行数15位の物、色は無地の白。」これが私の晤郎ショー用便箋の条件となった。

番組最後の5年間は、晤郎さんに変化が見られたので、行数10に減らした。
この5年間での愛用は、白孔雀。
晤郎さんへの最後の手紙も、白孔雀であった。