1970年に、この最後のシングルを出してから、吾郎さんは歌手の道を断ち切ります。
理由は、前年7月17日に師匠八代目市川雷蔵先生が逝去されたからです。
師匠の死を、役者ではなく歌手として耳にすることになった吾郎さんは衝撃を受けます。
この最後のシングルをレコード録音するときに、吾郎さんはどんな思いだったのでしょうか。
A面は「唇がかわくの」
B面は「あきらめてはいるけれど」

世相では、よど号ハイジャック事件。ウーマンリブの台頭。
学園紛争の沈静化と共に、三無主義に「しらける」。
混沌とした時代ではありました。
映画では、洋画がサウンドオブミュージック。
邦画では、座頭市と用心棒。
もう一人のお師匠さんである勝先生。
その主演される作品を、この年の吾郎さんはどんな思いで聞いておられたのでしょうか。