読書~散り椿
☆葉室麟 著
扇野藩シリーズの第一作目。
先日読み始めましたと書いておきながら、そのまとめをここでやっておりませんでした。
< 読書開始~散り椿
2/26に読み始めて翌日には読了。
中には、そんなに早く読めないという方もいらっしゃいますが、なに仕組みは簡単です。
例えばテレビ。
これをただ受け身でボ~ッと眺めている時間を、読書に替えるのです。
そして本の活字をまるでテレビ画像のように自力で脳内に映しながら読めるようになると、もうこれは良質の映画になります。
しかも、空いた時間に本をちょくちょく開けば、あっという間に読み進められます。
但し。
その筆者や物語が、良質な場合に限っての話ですが。
それで葉室麟です。
物語が良い!
そして文章が読みやすい。
今回の散り椿も秀逸でした。
舞台は扇野藩。
主人公は、一刀流平山道場の四天王の一人、40代半ばの瓜生新兵衛。
18年前に、藩内の不正を告発したために藩から追放された身。
妻である篠(しの)の遺言「春に故郷の散り椿が見たい。私の命が尽きた後、あなた様が私の代わりに見て欲しい」
そんな妻の遺言を果たすという一心で、故郷扇野藩に決死の覚悟で戻る新兵衛。
その扇野藩では、やはり一刀流平山道場の四天王の一人であった榊原采女(さかきばらうねめ)が、藩の側用人(そばようにん)に出世していた。
瓜生新兵衛と榊原采女は親友で、新兵衛の妻の篠は、元々は采女と恋仲であったとされている。
そして采女の養父が榊原平蔵。
かつての扇野藩の勘定組頭で、18年前、商人から賄賂を受け取っていると新兵衛から訴えられている。
その後、新兵衛はその訴えを理由に藩から放逐された。
ところがその放逐後三年目に、平蔵の不正が明らかになり新兵衛の訴えが正しかったことが判明。
そんな騒動の渦中、平蔵は何者かに斬殺された。
さて、亡き妻の不思議な遺言をただ果たすため、藩内に戻った新兵衛。
訪れたのは、やはり四天王の一人だった坂下源之進宅。
そこには新兵衛の妻だった篠の妹、里美が住んでいる。
坂下源之進も、横領の罪を着せられ切腹に追い込まれていて、今は里美と、息子の坂下藤吾。
藤吾は、藩の殖産方として勤める19~20歳ほどの若侍。
ここに逗留することになった新兵衛は、藩の覇権争いに巻き込まれて行くことになる。
そして今まさに、藩内には苦しい財政の立て直しを模索する采女と、特産品の和紙販売を独占する田中屋惣兵衛、そこから私腹を肥やす一部の城代家老らが対立を極めていた。
来春、散り椿の花の頃。
若き新藩主が、江戸から初めての国入りを果たす。
この時こそ、藩改革の好機と思い定める采女と、亡き妻との不思議な約束をただ果たそうとする新兵衛が絡んで、、、。
最後の最後。
篠の想いに胸を突かれて、まぁ泣きました。
これには参りました。
やはり葉室麟、ただの侍ものではありません。
晤郎さんが旅立たれた年に、この散り椿は映画化されたそうですが、無理でしょう。
映像化は難しい。
やはり本です!
本が良い。
ちなみに映画は興行的に大失敗したという記事を目にしました。
そうだろうなぁと思います。