マナガツオ

☆外郎売に出てくる魚

・日高晤郎さんの外郎売

歌舞伎十八番の一つ、外郎売の口上は晤郎ショーで知りました。
晤郎さんが旅立たれてから、私はようやく練習を始めました。
まずは晤郎さんの口上を録音したものを書き出し、暗記。
失った寂しさと、追悼と、色んな意味を込めての練習でした。

今では、まぁそこそこにスラスラ言えるようになってます。
ですが最初の一年は、つっかえつっかえでしたね。

さてその外郎売。
その途中に、こういうセリフが出てきます。

・外郎売口上①

「細溝(ほそどぶ)に、どじょにょろり。
京の生鱈(なまだら)奈良生真名鰹(ならなままながつお)ちょと四五貫目(しごかんめ)」

私の場合、丸暗記がどうも苦手。
なので口上を書き出してから、全部意味を調べました。
いや実は、最初調べたんですが、外郎売の台詞の意味を調べた本も資料も全くなかったのです。
存在しない。
じゃあ調べてやろうと、古本から江戸時代の文献まで探して探して、もう大変でした。

細溝にもまぁ背景がたくさんありました。
それは今回置いといて、と。

このセリフ部分は、魚つながりですね。
どじょは、ドジョウ。
そして鱈に真名鰹と重ねてきます。

さてここで、真名鰹。
私はこの魚を知らなかったんです。

☆マナガツオは高級魚

・岡山県特産魚

岡山県特産の魚なんですって。
それで、アシが早い。
つまり鮮度が落ちやすい。
けれど美味しい。

西日本で獲れる魚なので、各地で獲れるんです。
食材としては超高級魚の扱い。
ただ、岡山県特産というので、やはりそこが質・量ともに優れているのでしょうね。
ということは、瀬戸内海産。

・外郎売口上②

ここで戻って外郎売口上。
真名鰹の前に、「奈良」と付く。
更にその間に、わざわざ「生」と付く。

煮魚じゃないんです。
焼き魚でもない。
「生」つまり刺身なんですね、ここで指してるのは。

現代のように、チルド技術も物流トラック網も無い時代です。
瀬戸内海で獲れた真名鰹を、奈良でお刺身で頂くだなんて。
ね、なかなかありえないことでしょ。
漁期は、一番獲れる時期が6月から9月。
暑くて奈良までは腐る。

ということは、漁獲量が激減するが冬期に獲れたものを指しているんですね。
冬ならなんとか奈良でも真名鰹を刺身で食べる機会もあったのでしょうね、、たまに。

奈良生真名鰹というのは、有難く、貴重で、高級で、庶民には手が届かない憧れとして読み込まれた言葉だったんです。

真名鰹についてはこちらをご覧ください。
< 岡山県農林水産部水産課 マナガツオ

☆輸入禁止措置と真名鰹

・福島第一原発処理水問題

中国が、日本からの水産物輸入全面停止を発表しました。
それで、日本の水産関係には大打撃となっています。

中国では今、日本食ブームとかで、日本の水産物も大人気。
そこでこれまで、あちら向けに商売をシフトしていたんですね。
なので日本の消費まで回らないし、国内で品薄となる。
品薄となれば高値が付きます。
高値が付くと中々消費者は手が出せない。

当然、真名鰹も該当してます。 
アシの早い真名鰹です。
輸出のトラブルは大きな痛手。

チャイナリスクという言葉があります。
その言葉の意味を、もっと本気できちんと理解する良い機会なのだと思います。

晤郎さんだったら、こう仰るだろうな。
もっと他に国はあるだろ!!
ってね。

しっかりしろ!日本の政治家!!
これは私の心の声。

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