読書~はだれ雪(上)
☆葉室麟 著
葉室麟の扇野藩シリーズ。
これまでに、散り椿。
そして、さわらびの譜と読んで来ました。
(実際に読んだ順番は逆でしたが、、、)
そして今回は、はだれ雪の上巻です。
これはまた面白い話でした。
私が詠んだのは文庫本版でして、上下巻に分かれています。
今回私が詠んだのは、はだれ雪の上巻です。
話の前半は、ザッとですがこういう感じというのをお伝えしておきます。
元禄14年3月14日(この日付は旧暦)。
赤穂藩主、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)による刃傷事件、いわゆる松の廊下事件発生。
即日切腹に処せられた浅野内匠頭。
この切腹に関しては、幕閣内には事の真相が分かるまで見合わせるべきだとの意見も出たが、浅野内匠頭になんの調べもされず、謎を遺すことになる。
内匠頭は、その実を預けられていた田村屋敷で、手紙を認(したた)めたいと申し出たが、屋敷の者から拒まれている。
つまり赤穂の家臣たちは、内匠頭がどういう経緯で刃傷事件を起こし、即日切腹となったのかが一切分からない。
世間でも、その原因が様々に憶測を呼ぶことになった。
この事からも分かるように、即日切腹の判断は、幕府の大きな過ちでもあった。
しかしその切腹直前に自らの判断で接触し、その最後の言葉を聴いた旗本が居た。
その名は、永井勘解由(ながいかげゆ)。
勘解由のこの行いは、将軍徳川綱吉の怒りを買い、お役御免の上、扇野藩に流されることになる。
勘解由が元々は、将軍綱吉のお気に入りの人物で、もしかするといずれ将軍の怒りも収まり、江戸に呼び戻され幕閣に登用されるかもしれない。
かと言って、許しが下されない場合、扇野藩はる罪人を厚遇したとし、幕府からの印象も悪くなる恐れがある。
しかも、どういう経緯かも分からずに即日切腹となった主人の最後の言葉を探ろうと、赤穂家臣が勘解由に接触してくる恐れもある。
そうなれば扇野藩は、幕府の怒りを買う事にもなりかねない。
その対応に苦慮しつつ扇野藩では、勘解由を、扇野藩藩主が鷹狩に使う城下外れの屋敷に幽閉することにした。
そこで勘解由の世話と監視のために白羽の矢が立ったのが、嫁いで三年で後家となった紗英、二十四歳。
紗英の夫は、参勤交代の折の不慮の事故でこの世を去っていた。
そしてそこに、年老いた家僕の松蔵と、十七歳の女中なかが付けられた。
護送役とともに十一月、扇野藩の用意した屋敷に、勘解由がやって来た。
流罪人の私に女人が傍で寝起きするのは、、、、という勘解由に、次第に好意を抱くようになっていく紗英。
そしてその月の末の雪の朝。
屋敷の裏口にやって来たのは、赤穂藩筆頭家老の大石内蔵助(おおいしくらのすけ)。
というのが、冒頭六十頁の要約。
これに、扇野藩の家老、そして藩主。
また勘解由が幽閉された屋敷を監視する足軽や、家老によって送り込まれた性格最悪な若侍の由比道之助、そして赤穂浪士の討ち入りへの動きなどが絡んで、まぁ読ませます。
さて今日は日曜日。
予定の合間合間に下巻を読むことにします。
なんだか、少しでも早く読まないと、勘解由と紗英が心配で心配で。
これもお薦めの一冊であります。
ご興味ある方は是非。