試写会「お帰り寅さん」を観ての、私の感想
☆映画俳優という言葉に対する雑感みたいなもの
試写会に当たったので、札幌ファクトリーへ行ってきました。
寅さんは好きなので、楽しみにしてた。
でも、のっけから桑田佳祐さんドアップの主題歌これでもかの時間は、私にとって地獄だった。
特に桑田さんが嫌いとかでは全然ない。
歌わせる必然性もないし、本人を映し出す必要もない。
桑田歌唱の間だけ、まったく寅さんの世界に入れない。
つまり、最初にコケたのです私は。
始まった。
寅さんの過去の映像を、今の人たちの回想という形で使い、今を生きる人々の環境や心情を描いていく。
今回鮮やかに胸を打たれたのは、浅丘ルリ子さん、夏木マリさん。
映画で描かれてない人生の背景まで感じさせる存在感でした。
悲しい時のお二人は、沁みました。
晤郎さんだったら、きっと駄目出しされてるかなと思うのですが、私なんぞはもう一緒に泣いちゃったのです。
が、しかし。
ちょっとなぁ、映画ではなくて演技のせいで一気に映画館の座席に座っている自分に引き戻してくれるのが、主人公の満男くん。
伯父さんが恋しいのは分かる、別れた元恋人へのほろ苦い愛情の名残も分かる。
分かるのだけれどもね、全部泣き方悲しみ方が同じ表情。
やめてもう、もっとさ、伏し目がちに感情を抑えながらとか、爆発するようにとか、涙を流さずに心で泣くとか、ね、いろいろあるでしょ。
もう全部ですね、深海魚が真空パックされて行く感じ。
あああああ、空気が海洋深層水が抜かれていく~~~ぅぅぅ、って感じ。
え、おう、哀しみってさ、全て同一線上か?
同じ色なのか??
そう、思いましたね毎回毎回映画館の座席に引き戻されてさ。
北の国からのジュン君の子供の頃の方が1000倍上手だったぞ!!
あと一つ、私は言いたい!!
映画のタイトルが、「お帰り寅さん」
(これは、試写会当選の葉書です。)
お帰り泉さんなら分かる。百歩譲って分かる。
寅さんはお帰りになってない。
しかも映画の中で、寅さんが今どうなっているのか触れられてもいないし、登場人物の誰もが、寅さんの今を語ってないし心配もしていない。
なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁ。
私はエンドロールを観ながら、心で絶叫していましたね。
例えばほんのちょっとでも寅さん最後の目撃情報が届くとか、とらやの中の会話で「今」の寅さんに思いを馳せる場面があるとか、あればもっとよかったのにと思う。
タイトルに、そう期待しちゃってた自分が居たのだ。
なんだかんだ言いましたが、試写会です。
招いて頂いておきながら、なにも文句ばっかり垂れているのではありません。
せめて、最初の桑田さんと満男の涙だけは、いくらなんでも勘弁ならねぇとやんわり言っておるだけです。
まぁ、その二点除けば、あ~寅さんがお元気だったころより核家族化が進み、男どもはすっかり去勢されて大変ね時代よねそうよねとのメッセージを受け取ったつもりです。
映画館を出て、エスカレーター下りたところにある美唄焼き鳥炎で、串を三本食べて、ウサを晴らしました。
しかし、浅丘ルリ子さんと夏木マリさんは役者だった。
倍賞千恵子さん、前田吟さん、橋爪功さんに小林稔侍さんも美保純さんも良かったです。
晤郎さんが良く仰ってた「映画俳優」。
色々と体感できたような試写会でありました。