☆「日高晤郎ショー 最後の日」更に、4時台の裏側
☆ 晤郎ショーを止めろ!
聞こえてきたのは、怒声だった。
「もう、晤郎ショーを止めろって。無理だって。」
聞こえてきた方向は、廊下から見てスタジオと反対側。
我々は廊下からスタジオに向ってモニターを見ていたので、背中側からだった。
振り返っても、声の主は居ない。
更には、それにさえ気づかずにお喋りを続けている方もいる。
なにか、夢のようだった。
何だろう、この温度差は。
晤郎さんのあの衰弱速度を全員見ているはずなのに、振り返るとそこには日常的な笑顔での会話の空間も散見される。
と思えば、廊下の遠くで目を閉じ、時間の経過を手探りで引き寄せようとするかのような男性の姿も在る。
そう、今、あなたも聴きましたよね。と心で思う。
「もう、晤郎ショーを止めろって。もう無理だって。」
☆ 廊下での緊迫
晤郎さんが歌人達に任せて別室に移り休養。
多分、そこから晤郎さんがスタジオに戻ったあたりだったと思う。
怒りと、哀しみと、願いと入り混じった叩きつけるような声
「もう、晤郎ショーを止めろって。無理だって。」
声の主を敢えて書かないが、晤郎さんに近しい、晤郎さんを護るべき人である。
放送には決して乗らない、スタジオでは決して分からない、緊迫が垣間見えた瞬間だった。
そして4時台の裏側では、その声に始まる緊迫が廊下で形となっていくのである。
~☆「日高晤郎ショー 最後の日」濃密な会話へ続く。