知床の事故

☆経験者の重要性

あんなに綺麗で静かな知床で起こった事故。
あの日は荒れる予報なのに出港して行った観光船。

乗船されたお客の皆さんは、今年の観光シーズンの最初の船という事に心躍ってらっしゃったろう。
プロが出す船だと、安心されての乗船だったろう。
しかし現在の経営者もスタッフも、プロの端くれにも掛からない存在だった。

事故のあとで報道が積み重なっていった中に、こういうのが有った。
経営者が変わり、これまで無事故で運営していたスタッフが全員解雇されていた、と。
事故を起こした船長に、技術も知恵も授ける人がもう居なかった、と。

実は、事故を起こしたあの会社のような組織は、平成から現在までに徐々に増加傾向にあると思う。
従来の日本型の、経験者の知恵を重視し社会的責任を遵守すると言った組織の変容が散見されるようになった。
最初は自分の周囲だけの事かとも思ってはいたのだが、どうも違うようだ。
東日本大震災の年・太平洋フェリーにて

十年ちょっと前だったか、友人が会社組織のいわゆるパワハラに苦しんでいた。
相談を受けでじっくり話を聴くと、どうも私の知っている組織と似た構造。
つまり経験者の知恵を軽視し、設備投資による刹那的利潤追求に執着する経営陣。
人はつまりネジの如きもので、不足すれば補充で済むという上の姿勢。

5年ももたなかった。
設備だけはまぁまぁ最低限以上のものが有るのだが、それを臨機応変に扱える人材がもう居ない。
結局最後は断末魔の如き金もうけに走り、お客からの信頼も底をついてしまった。
東日本大震災の年・太平洋フェリーにて

その最後の大失敗は、海の天候を読めない船乗りに似ていた。
そう。
海の天候を読めない船乗り。
文字通り知床のあの会社は、プロの誇りを捨てて目先の稼ぎだけを見て、多くの人の命を奪ったのだ。

プロとは何か?
晤郎さんが教えて下さった様々な事を重ねて、知床の事故報道を見ている。

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