フランスパンについて
☆赤ワインとオリーブオイル
毎年この時期になると思い出すことがある。
上質のオリーブオイルと、フランスパン。
晤郎さんは、この取り合わせで赤ワインのフルボトルを楽しんると仰ってた。
なぜこの時期か?
それは、11月の下旬に数年置いて同じことを仰っていたから、強烈に脳裏に刻まれている。
まだそのころ私は赤ワインのおいしさを知らなかったので、それを試すまでには至らなかった。
いや、赤ワインだけじゃないか。
フランスパンというのも、ただ固いだけで日頃から何が美味しいのだと思ってた程度。
それで晤郎さんの言葉を受けて、まずフランスパンを買ってみた。
最初はアンパンの敵ではないというぐらい、口に合わなかった。
そう、私のパンの基準はアンパンだったのだ。
アンパンを基準に評価されるフランスパンというのも、今にして思えばなんとも不憫な境遇、申し訳ないと思う。
ところがある日、理由は忘れたが妙に空腹だった私は、パン屋に立ち寄りアンパンが売り切れという悲劇に会ってしまった。
それでこちらも理由は忘れたが、次点のクリームパンに走らずにフランスパンの切れっ端5枚セット簡易なビニール袋ひとまとめというのを買ったのだ。
それで帰り道、フランスパンを公園のベンチでかじったら実に旨いと感じてしまった。
このことは、もう少し詳しく晤郎さんに手紙として報告した。
その手紙を出した週。
晤郎さんは番組の合間に、パンとオリーブオイルの話をして下すった。
これは私に向けての話ではなかったが、そういうことは往々にして有る。
「手紙の常連さん」といわれるファンの間では有名な話で、皆さんに向かっての話が実は、その時に書いていた手紙の書き手へのアンサーということがままあるのだ。
その日を境に私はフランスパンに興味を持ち、興味を持ったら一層美味しく感じられるようになっていった。
味覚とは本当に不思議。
それでオリーブオイルもハード系のパンに合うものを買ってちょいと浸して食べたら、確かにより旨い。
私が赤ワインの味を知るのは、晤郎さんが旅立たれたのちのこと。
もっと早くに数歩前進して味を覚えていたなら良かったのにと、時々思う。
明日は土曜日、仕事も休み。
今夜は夕食を野菜中心に軽めに済ませ、そんなに高くないけれどフルボトルの赤ワインと、ハード系のパンに合うオリーブオイルと、フランスパンが売り切れだったのでバタールでネット配信の映画を観る予定。
このブログ記事のタイトルをフランスパンとしたけども、今日は買えなかったというオチ。