2週前の日高晤郎ショー11

< 2週前の日高晤郎ショー10より続く

~BGM
晤郎さんの朗読
。。。。。。。。。。。

まだ
生き物といえば
海のクラゲしかいなかったころのこと

いっぴきのクラゲが
夜の海にうかんでいたら
「やあ! 月かとおもいました」
と、空のうえから声がします
絵本 星につたえて

「いや、ふわりとして、すきとおっているところは、
月よりももっとステキです!」

クラゲはほんとうにちっぽけで
ほめられたことなどなかったから、あわてて答えました

「いいえ、星さん。あなたこそ、どうどうとしてリッパです」

星は、何万年もひとりぽっちで旅していたものだから
すっかりうれしくなりました

「うれしいなぁ、
そんなふうにいわれたことはなかったですから」

星は
空がどんなに広いかをクラゲに話してやりました

「空はね
どこまでいっても果てなんてありゃしないのですよ
きっと、どこまでもどこまでも
つづいているのでしょうよ」

「星さん。
わたしのこの海も、広くてそりゃあ、ふかいのですよ
どこまで行っても、いちばんふかい底ってものに、まだいきついたことがないのですから。」

たがいが知らない世界の話はフシギで
だからよけいに美しくおもえ
それは、むねのときめくものでした

空と海とで
星とクラゲは
ずっとおしゃべりをかわしました
ちっぽけなクラゲにとっては
まるで夢のような一夜でした
絵本 星につたえて

やがて夜明けがちかくなり
星はかすんできました

クラゲが星にたずねます
「今夜もまた、あえますか?」

「わたしは、ほうき星。
今夜は、、、ここをとおりません。
何百年かたてば、、とおるかもしれません」

「じゃあ、その時にはまた
おしゃべりをしてくれますか?」

「もちろんです。
ああ、さびしい旅だけれど
たのしみにすることができたなぁ」

クラゲはそれをきくと
むねがいっぱいになってしまいました

それで星に、言葉をかけようとしました
だいじなことをいおうとおもったのです
でも
できません

クラゲはもう
体じゅうがタプタプした涙のふくろになっていました

もしも一言でも口をひらけば
そのひょうしにパチンとはじけて
消えてしまいそうだったのです
絵本 星につたえて

※朗読の続きは、次掲載です。

< 2週前の日高晤郎ショー12へと続く

2週間前の日高晤郎ショー

日高晤郎ショー 最後の日
日高晤郎ショー 東日本大震災報道

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください