2週前の日高晤郎ショー11
☆絵本365日前編
~BGM
晤郎さんの朗読
。。。。。。。。。。。
まだ
生き物といえば
海のクラゲしかいなかったころのこと
いっぴきのクラゲが
夜の海にうかんでいたら
「やあ! 月かとおもいました」
と、空のうえから声がします
「いや、ふわりとして、すきとおっているところは、
月よりももっとステキです!」
クラゲはほんとうにちっぽけで
ほめられたことなどなかったから、あわてて答えました
「いいえ、星さん。あなたこそ、どうどうとしてリッパです」
星は、何万年もひとりぽっちで旅していたものだから
すっかりうれしくなりました
「うれしいなぁ、
そんなふうにいわれたことはなかったですから」
星は
空がどんなに広いかをクラゲに話してやりました
「空はね
どこまでいっても果てなんてありゃしないのですよ
きっと、どこまでもどこまでも
つづいているのでしょうよ」
「星さん。
わたしのこの海も、広くてそりゃあ、ふかいのですよ
どこまで行っても、いちばんふかい底ってものに、まだいきついたことがないのですから。」
たがいが知らない世界の話はフシギで
だからよけいに美しくおもえ
それは、むねのときめくものでした
空と海とで
星とクラゲは
ずっとおしゃべりをかわしました
ちっぽけなクラゲにとっては
まるで夢のような一夜でした
やがて夜明けがちかくなり
星はかすんできました
クラゲが星にたずねます
「今夜もまた、あえますか?」
「わたしは、ほうき星。
今夜は、、、ここをとおりません。
何百年かたてば、、とおるかもしれません」
「じゃあ、その時にはまた
おしゃべりをしてくれますか?」
「もちろんです。
ああ、さびしい旅だけれど
たのしみにすることができたなぁ」
クラゲはそれをきくと
むねがいっぱいになってしまいました
それで星に、言葉をかけようとしました
だいじなことをいおうとおもったのです
でも
できません
クラゲはもう
体じゅうがタプタプした涙のふくろになっていました
もしも一言でも口をひらけば
そのひょうしにパチンとはじけて
消えてしまいそうだったのです
※朗読の続きは、次掲載です。
※ 各記事に飛びやすくなっております。
以下のターミナルリンクをお使いください。
また、以前の放送書き起こし記事へも、以下のリンクをご用意しております。
お気軽にご覧ください。