2週前の日高晤郎ショー12
晤郎さんが、ご自分の全ての人生観を映して朗読できたという「星につたえて」
今日はその後半です。
☆絵本365日後半
やがてすっかり陽がのぼり
夜は明けてしまいました
ただただ
ほがらかに明るい空の
どこにも星はさがせません
あおくひろい海のうえで
クラゲはだまってユラユラと浮かんでいるのでした
それからというもの
クラゲは星をまちました
クラゲの体のほとんどは
すみきったとうめいな心だけでできています
むずかしいことを考えたり
うたがったりできる場所はほとんどありません
だから
何百年先というのが
今夜でないことは分かっても
それがあとどれぐらいとなると
さっぱり分かりませんでした
やがてクラゲは歳をとりました
ある日
こどもクラゲに
星にいえなかったことをおしえました
「いつかあの星に会えたとき、つたえておくれ」
こどもクラゲは
かならずつたえると約束しました
クラゲはそれを聞くと
とても安心しました
やがて
海にとけるようにして
おだやかに死んでいきました
しかし
こどもクラゲも星にはあえませんでした
それでこどもクラゲは
まごクラゲにたのみました
しかし星にはあえませんでした
それでまごクラゲからひまごクラゲに、、、
ひまごクラゲから、やしゃごクラゲに、、、
そんなふうにして
クラゲのあいだに
言葉はつたえられていきました
やがて時がたち
クラゲのなかには
姿をかえた仲間たちがあらわれるようになりました
その仲間にも
言葉はつたえられました
生き物はさまざまに姿をかえながら
いえなかった言葉を
大事につたえていきました
でも
こまったことがひとつだけありました
言葉はつたわっていくものの
長い時間のあいだに
いったい誰にいえばいいのかが、ぬけおちてしまったのです
つたえる相手が分からなくなってしまった言葉は
今では
いろんな人間が
いろんな相手にむかっていうようになりました
花にいう人
ネコにいう人
もちろん
人にいう人
そして中には
星に向かっていう人たちもあらわれたのです
銀色のシッポをなびかせて
ほうき星が空をわたっていると
たくさんの人たちが空をみあげげます
そして
たくさんのところから
たくさんの声がきこえてきます
「だいすき、きみがだいすき」
クラゲがいえなかった言葉は
こうして
やっと
ほうき星にとどくようになったのです
~ CMへ
※
星につたえて
安東みきえ・文
吉田尚令・絵
税込定価:1650円
アリス館
発行日:2017年12月12日
ISBN:9784752008118
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