読書~さわらびの譜

日高晤郎ショー、私の本棚でとても気になっていた葉室麟。
それでまず読んだのが、常連さんだったNさんからお借りした「川あかり」
葉室麟 川あかり
これがもう爽快。
主人公の七十郎が、最初は腑抜けっぽく感じていたのだけれど、読み進めて行くうちに徐々に共感を感じ、最後なんかもう、、、。
これで一気に、葉室麟の作品が好きになった、私にとっての思い出の一冊です。

そして今回。
ちょっと遠出で車中(JR)にと購入した「さわらびの譜」
これもまた葉室麟の作品。
葉室麟 さわらびの譜

主人公は、扇野藩有川家長女、伊也(いや)18歳。
伊也は、藩内で1~2を争う弓の名手。
そして伊也の妹で弓道とは一切無縁の、素直な姉思いの初音、16歳。
二人とも、大変仲が良い。

その年の正月。
城下の八幡様(神社)で行われた弓術奉納試合。
これを制したのは、伊也より的を一個多く射抜いた樋口清四郎。
それが悔しい伊也は、父に再戦を願い出るも「女人の身で男と競って何とする」と諫める。

そんなある日。
有川家に縁談話が来た。
父から伝えられたその縁談は、妹の初音にという話だった。
相手は、樋口清四郎。

有川家が伝える弓術流派は、日置流雪荷(へきりゅうせっか)派。
一方、樋口清四郎は、藩の弓術師範も務める磯貝弥十郎の弟子であり、弓術流派は、大和流。

初音は、姉の伊也の中に清四郎への想いがあることを察しており、この縁談を断りたいと伝える。
それを聞いて伊也は、武家の娘なら家同士が決めたことに従うものと嗜める。

そこから数日後、仲人を伴って有川家を訪れた清四郎。
そこで仲人の口から、この縁談に関しての経緯がうっかり語られてしまう。

それによると、清四郎の父が弓術奉納試合で伊也を見染め、是非息子の嫁にと申し出た。
ところが、伊也の父である将左衛門から、日置流雪荷流に他流派の作法が入るのを好まぬので、下の妹となら縁談を進めても良いとのお許しが出た、との事。
この話を聞かされ、動揺する伊也。

そののち。
藩内で行われる千射祈願(千本の矢を射通す)の事前選抜である御膳試合が行われるという。
そこに是非、伊也殿をと将左衛門(伊也の父)に進言する清四朗。

この御膳試合に、放蕩の過ぎる殿、晴家。
そして、将左衛門一派を敵視するその取り巻きたちの暗躍で、伊也と清四郎は陰謀に巻き込まれていく、、、

といった物語。

弓道に宿る精神性が見事に描かれていましたし、伊也と清四郎と初音、互いの思いやりに胸を打たれ、、、その他にも胸を打つ人物はいるのですが、ここでは敢えて書きません。

まぁ見事な作品でした。
映像が浮かびやすいので、流れるように読了しました。
やはり葉室麟、この話はもう誰かに伝えたくて仕方ない。
葉室麟 さわらびの譜
さわらびの譜は、扇野藩シリーズの第二作目。
一作目が「散り椿」
三作目が「はだれ雪」
四作目が「青嵐の坂」

一日三十分時間見つけて、集中してこの際、また一気にこのシリーズを読んでみようかという気になっております2月21日。

ちなみに、シリーズとは言っても、それぞれ別の物語です。
どれを取って読んでも、楽しめますのでご安心くださいませ。

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