歌詞:がまだせ節(高千穂音頭)
☆作詞:黒木淳吉(小説家)
では、歌詞分析の前に、がまだせ節の歌詞を高千穂町所有のレコードの歌詞カードから書き出しておくことにします。
作詞は黒木淳吉さん。
宮崎県西都市出身の公職を歴任された小説家。
長編小説「夕映えの村」で九州文学賞受賞と言う記録も残されております。
2009年没。
がまだせ節が小説家の作詞と言う事で、その歌詞が描く画像に私は興味を惹かれました。
歌は全部で四番まであります。
この次に書き出しておきますね。
ところでこれまでの二回。
私は高千穂民謡と記事に書いてきましたが、本当は「高千穂音頭」なのですね。
ジャンルが民謡に分類されるレコードで、命名のサブタイトルが高千穂音頭、これが正しいと先ほど気付きました。
☆がまだせ節の歌詞
高千穂峡の夕さりがた
ほっぽほうらい 歩(さる)いたら
真名井(まない)の滝に 待っちょった
鈿女(うずめ)に似た娘(こ)が そっと出す
竹の盃(たけのさかずき) カッポ酒(ざけ)
愛(え)らし恋人(おきせん) 早(は)よ早(は)よね
嫁女(よめじょ)にしてと せがまれち
トンピンカンも いさぎゆう
がま出せ がま出せ がま出さにゃ
今夜の夜神楽(よど)は 千木(ちぎ)の家
三十三番 舞い明かす
いやぞのさんは ほたり捨て
神楽せりせり 袖をひき
戸取りに願う 縁むすび
愛(え)らし恋人(おきせん) 早(は)よ早(は)よね
嫁女(よめじょ)にしてと せがまれち
トンピンカンも いさぎゆう
がま出せ がま出せ がま出さにゃ
大事件(ううごつ)ができた 祝い酒
岩戸(いわと) 高千穂(たかちほ)槵触(くしふる)と
三社参りに 夫婦(ふたり)連れ
親類(だむり)も揃(そろ)ち 上(うわ)向き田米(たごめ)
ひだり思いは させはせぬ
愛(え)らし恋人(おきせん) 早(は)よ早(は)よね
嫁女(よめじょ)にしてと せがまれち
トンピンカンも いさぎゆう
がま出せ がま出せ がま出さにゃ
国見ケ丘(くにみがおか)は 雲の海
刈干(かりぼ)しゃすんだ 迫々(さこざこ)に
駄草(だぐさ)背負(かるう)ち 早(は)よ去(い)のや
ソバのだご汁(じる) 夜食(よながり)に
晩酌(だれやみ)飲(ぬ)うじ がま出さにゃ
愛(え)らし恋人(おきせん) 早(は)よ早(は)よね
嫁女(よめじょ)にしてと せがまれち
トンピンカンも いさぎゆう
がま出せ がま出せ がま出さにゃ
☆次回、がまだせ節の歌詞分析
これが、小説家・黒木淳吉さんが描いた高千穂音頭がまだせ節に込められた物語です。
全部で四番。
それぞれに同じ囃子が付きます。
現地も歩いてきましたので、その写真も添えながら解説していくことにしますね。
高千穂の方言で書かれたこの歌詞。
意味が分かるともっと面白いでしょうし、歌に込められた失われゆく高千穂地方の文化も知っておいて損はないと思いますので。
旅の途中で出会った九十歳のおばあちゃんの話では、この歌詞は「自分のおっかさんたちの時代の歌ばい」と仰っておりました。
その話も交えて。
では次回は、歌詞の方言についてを書く予定です。
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