正月読書2023~ディーヴァー短編集 フルスロットル

☆「フルスロットル」と「死亡告示」

もう二月になったのに、今頃正月読書を書いてる。
正直に言うと、ブログアップした気になってた。
やばいよやばいよ、と心で叫ぶ。
そんなお年頃になってしまったのだなぁ、、、なんて。

今回の正月読書はこの四冊
まず、ファイナルツイストを読み、次に真夜中の密室と読み進めた
ジェフリー・ディーヴァー 四作品購入
長編二冊は、大満足。
その勢いで短編にとりかかったのは1月7日から。
連休だったのでなんだかんだやりながらでも、9日昼までに読了しました。

この二冊、とても読みやすい。
短編だからこそ、一気に読まされてしまう筆力がありますね、構成力はもちろんのことですが。

まずは今日は、フルスロットルのご紹介。
さて以下、大雑把な読後感など。

☆フルスロットル

収録されているのは六編。

まずは表題作の「フルスロットル」
相手のボディランゲージを読み取るキネシクスの達人キャサリン・ダンスが活躍する作品。

緊急メール。
「二時間後に大規模なテロ攻撃が行われ、被害者予測200名。それ以外の情報は不明」
その報を受け、容疑者の一人が拘束されている現場に向かうダンス。
そこに居たのは、人を食ったような態度のケプラーだった。
さて、ダンスは限られた時間の中で、大規模テロを阻止できるのか。

やはりこの始まりからぐいぐい読まされる感じが心地よかったです。
二時間と限られた時間の中で、話をはぐらかして警察の混乱と動揺を楽しんでいる容疑者ケプラーがなんとも腹立たしい。
人物設定と描写の素晴らしさが、やはりディーヴァー作品でしたね。

ダンスの二人の子供達も出てくるのですが、反抗期に入ったお兄ちゃんと、ママ大好きな幼い妹がホントかわいいんです。
ジェフリー・ディーヴァー フルスロットル

二作目は「ゲーム」

人の好い一人暮らしの八十三歳のサラ。
サラが所有するタウンハウスに入居してきた五十代の母親と二十代後半の息子。
この母子が、はじめは親切にサラに近づき、徐々にサラの私生活に過度に立ち入ってくる不気味さ。
徐々に暴力をちらつかせながら、サラの住居を使い始めるなど、エスカレートしていきます。
隣人の恐怖です。

さてこの作品に出てくる探偵が、エディ・カルーソ。
この名前、覚えておくことにします。
とても魅力的(人情的)な探偵です。
ジェフリー・ディーヴァー フルスロットル

三作目は「バンプ」

マイク・オコーナーはかつて一世を風靡した俳優。
じっくりと腰を据えて芝居に取り組む姿勢は、もう現代では時代遅れとなり、舞い込む仕事も遣り甲斐の無いものばかり。
そこで最近は、古き良き時代の、週替わり一話完結のプロジェクトを企画し各放送局に売り込みに。
但し、そんな古めかしい企画に飛びつく会社は無かった。

そんな折、オコーナーに新たな仕事の話が来る。
番組タイトルは「一攫千金、一発勝負」
視聴率を稼ぐため、この新番組ではすべてがリアル、そして生放送。
出演者は、ある程度のレベルに達してはいるが成功とまでは至っていないエンターテインメント業界各分野からの代表。
参加費は25万ドル、自費での参加。
負けた場合は現実に損をする。

ところが実は、この新番組の真の目的は金ではなく、バンプだという。
バンプ。脚光を浴びる切っ掛け、マスコミに取り上げられるための起爆剤というハリウッドの業界用語。
さて、オコーナーは、、、という話。
ジェフリー・ディーヴァー フルスロットル

四作目は、来ました、リンカーン・ライム作品。
「教科書通りの犯罪」

数年前にライムが執筆した「証拠採取および分析の基礎 総論」
それを熟読しているような殺人事件が起こった。
しかも現場には、過剰ともいえる証拠物件が残されている。

その後も連続する事件。
その事件全てが、ライムの著書をなぞったような内容だった。
犯人は、「証拠採取および分析の基礎 総論」の読者の中に居る。

短編ながらライムの魅力をよくぞここまで濃縮と、ディーヴァーの筆力に脱帽でした。
ジェフリー・ディーヴァー フルスロットル

五作目は、「パラダイス」
主人公はジョン・ペラム。
私はぺラム作品は初めてとなります。

冒頭、ぺラムの運転する車のブレーキが利かずに暴走を始めて他の車を巻き込んでの事故、と言うところから物語は始まります。
車は壊れ、事故現場近くの街ガーニーに足止めされたぺラム。
事故に巻き込まれた車には、30代半ばの冷たい感じの美しい女性と、助手席に若いヒッチハイカーの男。
街の工場で車の修理が終わるまで動けない三人。

その後判明する、ガーニーからほど遠くない場所で起きた殺人事件。
被害者は不動産開発会社の社員。
その殺人事件に巻き込まれていくぺラム。

これまた個性的な、魅力ある主人公でしたジョン・ペラム。
いったい、ジェフリー・ディーヴァーって、何人の魅力的な人物を生み出せるんだと感嘆でした。
ジェフリー・ディーヴァー フルスロットル

そして最後、六作目は、「三十秒」
舞台は北京オリンピック。
そこに仕掛けられたテロリストの罠。

オリンピック開幕前日の厳重な警戒態勢の中、「アメリカかロシア、またはその両方のチームへの襲撃がある」というメールが、国内情報者から届いた。
双方の選手団を守るため、詳細が判明するまで初日の出場を見合わせてほしいという要望を出すメインスタジアム警備責任者のチャオ。
しかし両選手団は、それを拒否。

そして向かえたオリンピック開幕当日、そこに起こった出来事とは。
ジェフリー・ディーヴァー フルスロットル

☆情報

ジェフリー・ディーヴァー作
フルスロットル。

2022年4月10日初版発行
文藝春秋から出て、税込み1200円です。

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