寄席巡り

☆噺家と落語家

寄席に通ったというのはもう、ここでは何回も書いてますので。
今回はざっくりと全体の感想をば。

寄席。
「よせ」と読みますね。
これ、芸人の寄せ場から来てるんですが、文字通り、寄せ場でした。

やはり他でもそうだと思うんですが、どうも江戸文化が明治でかなり捨て去られ、それでも大正・昭和初期まではまだ半分くらいは残っていたみたいなんですね。
この寄席も、そう。
だいたい、「落語」というのは明治に作られた言葉。
それ以前は、噺(はなし)だったんですから。

つまり、落語家さんも明治に呼ばれるようになり、テレビ用に「落語家」の呼称が定着するのが昭和半ばだと聞いたことがあります。
それまでは、噺家さんと言ったそうで、私もこちらの方が良いと思うんですがね。

高座、つまり噺家さんの舞台を見てると、落語家と言ってみたり噺家と言ってみたりで混ざってますね。
凄いのになると、一人の噺家さんが同じ噺の中で「噺家」と「落語家」とを混ぜて語ってたりしてました。
新宿末廣亭6月中席2023

☆三つの寄席

今回通ったのは、まず国会近くに有る国立演芸場。
入口に三本の旗が立ってましてね。
昨年12月。
木村善幸さんの受賞祝賀会で上京したときは、時間が無かったので、玄関までで断念した国立演芸場。
国立演芸場

今回は、ちゃんと入りました。
12:30から16:30。
なんとも品の良い会場でした。
国立演芸場

ここは秋に建て替えとなるので、歴史あるこの建物とも今回限りです。
記念の手拭い買いました。
国立演芸場

この日はこれで予定を終えて、息子と食事。
そして翌日、まずは上野の鈴本演芸場へ
鈴本演芸場

入り口はなんだか色気のないビルって感じなんですが、中はやはり歴史を感じる佇まい。
こちら昼の部が12時開場の12:30はじまり。
鈴本演芸場

こちらも記念の、手染め手拭いを買いました。
そして海苔おかきと飲み物も。
鈴本演芸場は、座椅子の前に簡易のテーブルが開くようになってますので、ここを利用してぱりぱりごくごく。
お客さんも、この会場が一番飲み食い率が高かったですね。
簡易テーブルにお弁当を置いて、楽しそうにされてましたね。

あ、そうそう。
寄席の昼の部が16時に終わって、その足ですぐに浅草演芸ホール夜の部へ向かったのですが、送り太鼓というのを初めて見ました。
これ、風情があっていいですね~。
鈴本演芸場

鈴本演芸場から浅草演芸ホールまでは、地下鉄使って徒歩も併せて20分ほど。
最初、浅草演芸ホール夜の部冒頭には間に合わないかなと思っていたのですが、余裕の10分前到着。
浅草演芸ホール

これがまた、間に合って大正解。
この日、始まりが浪曲だったんです。
実は、寄席が浪曲から始まるのって、史上初なんですって。

緞帳が上がる前に、楽屋でうわぁ~~って盛り上がってるのが客席までしっかり聞こえてきましてね。
最初、理由知らないもんだから、なんだ浅草、めちゃくちゃだななんて思ってたんです失礼しました。
浅草演芸ホール
その日の寄席の始まりの演者を、開口一番というのだそうです。
浪曲師、玉川太福さんのお弟子さんで、玉川わ太さん。
演目は、阿漕ヶ浦。
客席もお祝いムード一色。
事前に宣伝はされていなかったみたいですね。

夜の部終演が20:30。
なんだかずっとしあわせな気分で笑ったり唸らせられたり。
本当に佳い文化です。
外に出たら、こんな雰囲気になっていました。
浅草演芸ホール

☆コロナ禍の影

どの講座でも、どなたかが触れていました。
COVID-19。
そう、あの新型コロナの影響。

4年前。
どの噺家さんも、寄席に出演される他の芸人さんも、自粛自粛で収入もなくなりこの文化は滅ぶかもというところまで追い詰められたそうです。
そして、当時の政治を風刺していました。

滅びかけようとしていた文化の復興。
それに触れられただけでも、私の大きな学びとなりました。
が。
それだけでなく、純粋に話芸の現場に身を置けたことが嬉しかった。

江戸の町は、当時世界一の園芸大国と称されています。
その名残が言葉として、演芸の世界に残されていたりします。
演芸の中の園芸。
そこもまた、面白く触れられたこと。

大満足の東京一人旅でありました。


新宿末廣亭

※ これは珍しい、新宿末廣亭の高座写真。
普段は撮影禁止です。
しかしこの時だけ「皆さん写真撮影して、SNSなどで宣伝してください」とのことで撮った一枚。
時間にして20秒ぐらいでしたか。
その写真を最後に添えて。

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