蛍草~葉室麟

おおよそですが、たいてい朝4時に起きています。
洗面を済ませて、少し外の空気を吸って、健康管理にと血圧測定して、お茶を一杯。
そこから朝食の6時半までが、調べものか読書の時間。

寝起きで邪念がないので、調べものも読書もすいすいと進む時間帯です。
もちろん、調べものをしながら読書というのも無いことはないのですが、その場合の主体は読書。

本を読んでいて分からない事だ出てくると、横に置いたパソコンで検索。
でもそれ以外は、調べものなら調べものに集中。
読書をするなら、朝食までは読むことに集中です。

そんなわけで今週月曜から読み始めたのが、葉室麟著、螢草(ほたるぐさ)。
葉室麟 螢草

私が葉室麟の世界にはまったのは、晤郎ショー常連のNさんから「川あかり」をお借りしてから。
まぁ見事に脳内で映像化しやすい作品だったので、そこから一気に葉室麟のファンになりました。
もちろん、日高晤郎さんが私の本棚で絶賛されていたのも背景にあります。

さてこの螢草も、川あかりと同系列と言ってよい作品です。
まず何より読みやすい。
そして、登場人物がみな魅力的。

主人公は16歳の奈々。
父は鏑木藩藩士で、城中で口論からの刃傷沙汰を起こし切腹。
その後母と、母の実家の農家で暮らしていた。
そして迎えた母の病死。

そこで鏑木藩勘定方の風早家の住み込み女中として働く道を選んだ奈々。
刃傷沙汰を起こした父の事があり、奈々は身分を隠しての女中奉公となった。

風早家では当主の市之進、妻の佐知、まだ4歳の正助、3歳のとよと、皆で温かく奈々を迎い入れてくれた。

その当主、風早市之進は、傾きかけた藩政を立て直すべく奮闘していた。
そんな風早家にある日訪れたのが、市之進の動きを妨害している藩士、轟平九郎。
奈々の父、安坂長七郎と口論を起こし、切腹に追い込んだ張本人だった。
葉室麟 螢草

奈々を妹のように思う佐知を襲う不幸。
市之進の周囲に張り巡らされた罠。
奈々を姉のように慕う正助と、とよ。
そんな中、奈々の取る行動が本当に胸を打ちます。

何と言ってもまだ16歳ですから。
少々の失敗もしますし、おっちょこちょいな面もあります。
どろどろとした藩政の裏側のこちら側で、奈々の人柄や行動に惹かれてゆく周囲の人たちもまたみんな魅力的。

読みやすい作品です。
下手な映画やドラマを見るより、一冊の螢草であります。
私は今朝読み終わって、ああ、人生って素晴らしいなと一層前向きな気持ちでいっぱい。
こういう気持ちにさせてくれる作品の多い葉室麟さん。
ご存命ならば、もっともっと作品を残して下さっているだろうにと、その点はやはり寂しいですけれど。

ともあれ螢草。
お時間が許せば皆様も是非どうぞ。
葉室麟 螢草


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