映画~SISU 不死身の男

もうそろそろアマゾンプライムも解約して、ふた月位はNHKオンデマンドに替えても良いのかなと思い始めています。

外は北海道といえど暑い時期ですし、暑さにはとんと弱い私は時間があると室内に引きこもり、気分転換に映画を観ることにしております。

そこで昨日観た作品が、こちら。
SISU 不死身の男
SISU 不死身の男

フィンランドの映画です。
舞台は第二次世界大戦末期。

荒野に、あちこちの地面を掘り続けている体格の良い老人が一人。
主人公のアアタミ・コルビです。
お供は、子羊みたいな犬ウッコ。
近くを流れる川では、砂金というより大きめの金の粒が採れた所から、どうも金鉱脈が走っていると分かります。

そうしてようやく金脈を掘り当てたコルビは、金塊を袋に詰め、換金のため馬で街へ。
馬の後をチョコチョコと付いて来るウッコがかわいい。

そのコルビが進む道の前方から、フィンランドを蹂躙して退却する中規模のナチスの一群と交差。
更にしばらく進むと、また別のナチスの小規模な一群と遭遇。
そこで持っていた金塊と命を奪われそうになり、コルビの中のSISUが目覚め、圧倒的な戦闘力で敵を一掃。
その戦闘音を聞きつけて引き返してきた最初のナチスの一群が、全滅させられた同胞の様子をみて、ただならぬ惨状を目にし仲間の死骸を調査。
そこで交差時に見逃したあの老人が金鉱堀りで、手元にかなりの金塊を持っていると確信し、コルビの追走を始める。
果たして武器も持たない老人コルビは、重武装のナチスの追撃から無事に逃れられるのか、、、。
という作品でした。
SISU 不死身の男

ともかく。
コルビが強い。
撃たれても歩ける。
腹に穴が開いたまま泥水に浸かっても雑菌など存在しないかのように動ける。
ただし、見ていたら、痛いには痛いらしい。

ええ??
コルビ、人間だよね?
70歳以上のご高齢だよね?
様々な疑問が渦巻きつつ私は黙って観続けましたが、とにかく強い。
なんで強いかの裏付けも何もない。
分からない。

こういう私の疑問が大袈裟だと思う方は是非ご覧いただきたい。
SISU 不死身の男

それで作品を観終わった後に、SISUというフィンランド語について少し調べてみたら、独特の言葉で、世界各地の言葉に翻訳するのは不可能な概念なのだそうですね。
私が理解したのは、「負けないという強い思いが、体にも反映されて、信じられないほどの強靭な力を生み出す現象」

日本人の私から視たら、こんなじいちゃんが、そんなそんな、、、などと思ってしまう事であっても、フィンランドの方々には、SISUなんだよですんなり理解できる作品なのでしょう。
なるほど、文化ですね。
もしかしたら武士道の切腹の概念に似たものかもしれません。
他国の人には理解できない人生観。

実際にフィンランドはあの大戦で、ナチスやソ連と凄絶な戦いを強いられていました。
現在のお花畑社会に暮らす私たちには、まず創造ができないほどに。

以前に私の本棚で紹介された「最強のスナイパー」を読んだ時に感じた衝撃。
あれは実際に戦場に出ていたスナイパーの手記でしたから、内容がおぞましかったです。
それにちょっと似たものを、私はこの作品から感じていました。

ザックリ言うと、背景は第二次世界大戦末期。
当初、冬戦争と呼ばれるフィンランドVSソ連の戦いがあったのです。
ここで圧倒的不利な戦力のフィンランド軍VS強大な軍事力をもつソ連軍という構図は、現代のウクライナ戦争にも似ています。
但しこの時、フィンランド軍はソ連軍相手に対等以上の戦果を挙げ、その原動力となったのがSISUだとも言われているようです。
とにかく、言葉にできない概念です。

その後、フィンランドはナチスと共闘。
ナチスはフィンランドに拠点を置き、ソ連攻撃をしますが、徐々に戦況は悪化。
そして1944年にはフィンランドとソ連は講和条約を結びます。
その条約にソ連は、「フィンランド国内からナチスを追放すること」という条項が織り込まれます。

ナチスとしては、フィンランドが裏切り、撤退命令を出してきた形です。
そこで敵の追撃を阻むために、焦土作戦と称し、フィンランドを徹底的に破壊しながら国外脱出を図ったという事がありました。
これをラップランド戦争と呼びます。

映画SISU不死身の男は、まさにラップランド戦争。
このナチスがフィンランドに対して行った焦土作戦が舞台です。
そして主人公の老人アアタミ・コルビは、先の冬戦争でソ連に対して尋常ではない怒りと戦闘力で伝説化した戦士だったというのが背景だと分かりました。

日本人から見たら奇異に映るコルビの異常な強さは、こうした第二次世界大戦中にフィンランドが関わった冬戦争からラップランド戦争に至るまでの苦難の時代への怒りなのでしょう。
歴史を調べて、ただの訳の分からないじいさんがフィンランドの人々の絶望の中の希望として描かれていると分かり、もう一回観なおしてみようかなと思う朝です。
観なおすなら今度の土曜日8月9日が、長崎への原爆投下に留まらず、ソ連の日ソ中立条約を破棄により突然千島樺太満州へ侵攻が始まった日ですから。
もう一度観るなら、この日が、日本人としてふさわしいでしょうね。
そんなこんなでSISU不死身の男、ある意味、味わい深い作品でした。
SISU 不死身の男

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