木村善幸さん 無観客トライアル公演 リポート Part5
< 木村善幸さん 無観客トライアル公演 リポート Part4より続く。
☆無観客トライアル公演「世去れ節」
世去れ。
「苦しい世よ、早く去れ」の願いを込めたという津軽よされ節。
木村さんの今回の公演で、「世去れ」の文字を当てるのだと知った。
飢餓や貧困、そして圧政や戦乱に人々が苦しんだ時代。
津軽よされ節の賑やかな曲調に、叫びにも似た祈りが込められたのだろう。
苦しい世よ、早く去れ。
木村善幸さんが今回の公演のタイトルにそれを選んだのは、勿論、全世界に蔓延したCOVID-19禍が在るから。
COVID-19(新型コロナ)によるパンデミック(世界的大流行)。
そんな世は、早く去れ。
早く去って、次の素晴らしい世よ、早く来い。
そんな思いを込めての、木村善幸 無観客トライアル公演「世去れ節」開演。
まずは津軽三味線による、世去れ節。
☆圧倒されっぱなしの本番
それぞれのプロの機械操作で、千変万化する舞台。
リハーサルでは各パートごとに細かく調整していく過程を見ることができた。
しかし本番は、圧巻。
当然と思われるかもしれないが、なんというか、、、
本番の仕組みが、質量を伴った衝撃として伝わってくるのだ。
演奏の素晴らしさや、進化は勿論の事。
それに輪を加えて、各方向からの多種多様な光と、音響増幅と微調整が同時に一気にかぶさってくる。
そうすると舞台がまるで別の世界になっていくのだ。
演奏者と、音響技術と、舞台照明。
この三位一体の美しく力強い事といったらなかった。
その時の演奏、その時の舞台。
津軽三味線7曲、和太鼓3曲(再演含めれば4曲)。
それらは近日中に(曲ごとにだったかな)YouTubeにアップされるらしいので、そうなったらまたこの場でご報告させていただくつもり。
ちなみに、この公演のセットリストは、こちらです⇓
木村善幸無観客トライアル公演「世去れ節」
☆木村善幸さん、日高晤郎さんを語る
無観客での公演。
客席にはお弟子さん20名くらい(おおよそ)。
それに照明さんと音響さんと、部外者の私。
そこに向かって舞台の木村善幸さんは、幾度かのステージトーク。
そぐわないな、ステージトークという言葉は。
言い換えると、舞台からの語り、舞台語り。
マイクを通して木村さんは、恩人の日高晤郎さんに付いて語ってらっしゃった。
この会場(札幌市教育文化会館)は、日高晤郎さん最後の舞台となった場所だという事(明日への贈り物Part3)とか。
晤郎ショー初スタジオでの演奏の緊張の思い出とか。
晤郎さんから貴重なアドバイスをいただいた事とか。
COVID-19の時代の閉塞感。それに対して晤郎さんだったなら、どう立ち向かわれたろうか等々。
無観客公演でありながら、ここで晤郎さんへの想いを語る木村さん。
客席には、お弟子さんとスタッフさんと私だけ。
つまり。
誰かに見られていること。
誰かに伝えること。
その為の語りではないということ。
この時、会場に居られた人たちは私を含めて、木村さんの内面の深い部分にも触れさせていただいたのだろうと思う。
木村善幸無観客トライアル公演「世去れ節」。
舞台自体も言葉にならないくらいに素晴らしかった。
しかし更にその上に、木村善幸さんの中の大切な位置に、今も日高晤郎さんが健在だと知った。
これからの木村善幸さんと、そのお弟子さんたちのご活躍が、どうにも楽しみでならない。
日高晤郎さんから頂いた、ご縁は、こうして今も、そしてこれからも続いていく。
それがまた、有り難く、そして嬉しい。