仕付け糸
☆今夜もまた羽織の話で
せっかく人生初で作ったのだから、もう少し羽織の話をさせてください。
私の羽織は「粋裳平紬」
お色は青磁。
実際に出来上がった羽織を見ていると、実に何とも良い風合い。
昨夜少々袖を通してみましたが、これがまた中々良い。
裏地は、せき社長が選んでくだすって見惚れてます。
さて。
写真では分かりませんが、まだ仕付け糸が付いている。
これを取り去らねばなりません。
5月5日に、ていねいに取って行こうと決めています。
その理由は、また後日。
仕付け糸。
これはごく細い糸で、、とまぁ、お詳しい方には何とも恥ずかしいのでありますが続けます。
仕付け糸は、ごく細い糸。
着物が整うように、仮に縫い付けて置く糸のことを言います。
そして着物が縫いあがった時、その糸は外されることになります。
つまり、着物が出来上がった時、外して初めて完成となるのですね。
仕上がったのに、いつまでもそこに留まってはならない、それが仕付け糸なのです。
躾という漢字があります。
御存知の通り「しつけ」と読みます。
漢字としては、国字。
つまり中国伝来の文字ではないんです。
身に美しいと書く。
これは教育用語ですよね。
幼児期に基本的で日常的な生活習慣や道徳を教え混むこと、とでも言ったらよいでしょうか。
躾が良い、とか。
躾がなってない、とか。
言いますよね。
つまり子供が、社会的に自立していくための最初の方の過程として、躾はあるんですね。
だけどもどうも都会では躾も何も自由と言う名のもとに、、、ねぇ、、。
とまぁ、そういう事なんですね。
躾の語源は、着物の仕付け糸。
だから、です。
親からの躾というのは、5~7歳あたりの間に取り去る前提で行うものなのです。
それを過ぎても躾をしている親御さん、周囲に居ませんか?
日本語とはなんと深くて美しいのだろうと思う事が良くあります。
仕付け=躾も、そう。
躾が仕付け糸から来ているなら、やがて完成を見た時に取り外さねばなりません。
規則を作ってある程度の心の形が出来上がった時、外してあげて自主性と自立を促してあげる、これが本来の躾なんですね。
別の表現を使うと、幼児への躾は、やがて取り去るという前提に立って行うべきものである事。
もう少し別の表現を使うと、やがて取り去っても大丈夫になるように躾を初めから見据えて行う事が、大事なんですね。
とまぁ、そんなこんなでこどもの日。
私は羽織の仕付け糸を外します。