国葬の美しい日本語③
☆菅義偉前総理弔辞③
※菅義偉前総理弔辞②より続く
安倍総理。
日本国は、あなたという歴史上かけがえのないリーダーを頂いたからこそ、特定秘密保護法、一連の平和安全法制、改正組織犯罪処罰法など、難しかった法案をすべて成立させることが出来ました。
どの一つを欠いても、我が国の安全は確固たるものにはならない。
あなたの信念、そして決意に、私達はとこしえの感謝をささげるものであります。
国難を突破し、強い日本を創る。
そして真の平和国家日本を希求し、日本をあらゆる分野で世界に貢献できる国にする。
そんな覚悟と決断の毎日が続く中にあっても、総理、あなたは常に笑顔を絶やさなかった。
いつも周りの人たちに心を配り、優しさを降り注いだ。
総理官邸で共に過ごし、あらゆる苦楽を共にした七年八ヶ月。
私は本当に幸せでした。
私だけではなく、全てのスタッフたちが、あの厳しい日々の中で、明るく生き生きと働いていたことを思い起こします。
何度でも申し上げます。
安倍総理、あなたは、我が日本国にとっての、真のリーダーでした。
衆議院第一議員会館1212号室のあなたの机には、読みかけの本が一冊ありました。
岡義武著、山縣有朋です。
ここまで読んだという最後の頁は、端を折ってありました。そしてその頁には、マーカーペンで線を引いたところがありました。
印をつけた箇所にあったのは、いみじくも、山縣有朋が長年の盟友・伊藤博文に先立たれ、故人を偲んで詠んだ歌がありました。
総理、今、この歌くらい私自身の思いをよく詠んだ一首はありません。
かたりあひて 尽くしし人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ
かたりあひて 尽くしし人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ
深い哀しみと、寂しさを覚えます。
総理、本当にありがとうございました。
どうか安らかにお休みください。
令和4年9月27日
前・内閣総理大臣 菅義偉