五郎とゴロー

☆初期の円谷プロの凄み

ウルトラQ
1966年から放送が始まった全27話の特撮TVドラマ。
日常生活に、なにか得体のしれないモノが現れたら、、、という基本的に一話完結の物語。
このウルトラQの第二話が「五郎とゴロー」
この響きを耳にしたら、当ブログも無視できない、、というわけで。

その「五郎とゴロー」が放送されたのが、57年前の今日なんですって。
五郎とゴロー

大まかなストーリーは、こうです。
山の中にある野猿研究所。
そこの用務員であり言語障害のある青年五郎の唯一の友達は、野生の猿のゴロー。

そのゴローがある日、身長20mまで巨大化。
その原因は、野猿研究所が保管していたアオバグルミ。
当然、周囲の人たちは恐れおののく。

このアオバグルミは、旧日本軍が兵士の体力増強のために開発していたもの。
ただし許容摂取量を超えると人体に異常を起こす副作用がある。
それは甲状腺への影響。
お猿のゴローは無邪気に食べ過ぎたんですね。

そこでゴローの空腹を心配して、近所の農家で野菜などを盗み出す五郎青年。
結果、逮捕。

五郎青年の姿が見えなくなった巨大なゴローは、五郎青年を探して町へ。
なんてったって身長20mのお猿です。
歩くだけで脅威、しかも町も壊れる。
五郎とゴロー

一方いろいろ調べていくと、南の島に巨大化した猿たちが静かに平和に暮らしている島があるという。
その島は、日本軍が上陸して戦っていた島の一つで、どうも持参したアオバグルミが根付いてしまったようで。
そこにゴローを運搬すれば万事丸く収まると人々は計画。
睡眠薬の入った牛乳を多量に用意し、青年五郎にゴローを誘導してもらう。

青年五郎はただただゴローの空腹が心配で、牛乳缶(北海道の畜産農家が使うこれ)の置いてある場所に誘導。
牛乳缶

我慢の限界だったゴローは、牛乳がぶ飲み。
それを嬉しそうに見つめる青年五郎。
五郎とゴロー
と、ゴローが突然眠り始める。
驚いた五郎青年は真相を悟り、言葉にならない叫び声をあげる。

こうしてゴローは、同じ巨大化猿の住む島へ送られ、青年五郎は永遠に唯一の友を失った。という話。
終戦後21年。
まだまだ戦いの余韻が色濃く残っていた時期のこの作品、、凄いと思いませんか。

☆ついでにウルトラマンにも触れておこうっと。

このウルトラQは、実はウルトラマンシリーズの1なんですね。
日常に怪異が表れて、それに日常の人々が対処する(警察・自衛隊含め)という筋。

ここに、人類側につく強大な異星人が現れたら、、というのが初代ウルトラマンなのです。
もうですね、知覚神経がおおよそ発達してきた和彦坊やは礼賛するわけです。
ついこの前まで、人がやっと解決してきた問題になんだこのかっこいいのは!
訳わからないけど、強い。3分って時間感覚を覚えたのもこの番組からでしたね。

ストーリーも、単なる勧善懲悪ではなかったですからね、たまに「人類よぉ、おいおい!」となる回もあって。
それで最終回は、その強大なウルトラマンが死んでしまうという衝撃。
ウルトラマン

和彦坊やに与えた衝撃ったら、そりゃもう絶大。
だってウルトラマンでさえ死ぬんですから、自分だっていつか死ぬんだと打ちのめされました、これほんとの話。
どうです、死を意識しだした3歳8ヶ月児。
もう地獄ですよ、眠るのが怖い。
でもみんな普通に毎晩眠ってる、バカか君たちって、ああほんとに今思うとイヤな3歳8ヶ月だこと。

そういう幼児がですね、60歳近くになるとこうなるわけです。
ま、そんな話は置いといて。

昨年放映された「シン・ウルトラマン」
そんな昭和のウルトラQからウルトラマンまでを実に上手に現代に置き換えて展開させた話で、もう感涙でした。
それもどうも、あの有名な「シン・ゴジラ」までその世界につながっているような随所の演出。
「ニンゲンって、何?」という深い問いかけも、目を凝らし耳を澄ますと伝わってきます、そうそうこれでこそ昭和初期のウルトラマン!!
シンウルトラマン
敵役のメフィラス星人も、昭和の回に輪をかけて魅力的。
第一、日本政府に乗り込んできて、名刺渡して友好的に(実は支配)していこうとするんですから。
名刺ですよ、名刺。
日本人を分析して、「郷に入っては郷に従え、私の好きな言葉です」って話しながら。

☆五郎とゴローと晤郎さん

この年になって気づくことも多いです。
何より、ウルトラQも初代ウルトラマンも、作り手が子供に媚びてなかった。
昭和映画全盛期の息吹を感じます。 
たかが30分の子供番組に、通常の3倍強の予算を使って、細かいところまで手を抜かずに作ってる凄み。
何より、脚本の深み。

この正月に、昭和30年代の東宝や大映の時代劇をかなり見ました。
そう、日高晤郎さんが映画の世界で過ごした時代。
かなりハイペースで作られ続けており、一部作品によっては質の低下も感じられ始めた時代。

映画からテレビへという流れで、映画人の焦りもあるのかなと思う作品もありました。
ただ、良いものは良い。
時代劇も怪獣番組も、確実に魂を持っていた作品が多かった時代が確かに有ったんです。
細谷新吾さん(日高晤郎さん)

ウルトラマンも同じ。
私はこの次のウルトラセブンで終わりだったと思っています。 
それ以降はウルトラシリーズに変なアイテム(おこちゃまに買ってあげてねという何かが見え隠れ)や、たまに強すぎる怪獣が現れるとウルトラの兄弟たちが集まって、寄ってたかって1体の怪獣にギリギリ勝利など、、ああ、目に余る体たらく。

ウルトラQの第二話、五郎とゴローが放映されて今日で57年。
56.57と並ぶのでと、遠い昭和に思いを馳せつつ、ついつい長話になりました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください