芸談~高座は怖い
☆浮世に言い忘れたこと
日高晤郎ショーで、第一スタジオ見学やSTVホール公開に参加された方はご存知と思います。
晤郎さんは常々こう仰ってました。
「私が座るこの放送ブースは、私の神聖な仕事場です。だから、お客さんは絶対に入らないでください。」
それはそうです。
あそこに張られた結界が見えない方もたまに居て、土足で踏み込もうとする。
そういう人はもう異教徒。
スタッフさんは勿論ですが、コアなファンが放置しておきません。
厳しい表現を使うなら、排除します。
踏み込むというのは、会話も含む、です。
会話で変に踏み込む人も、一見さんには居たなぁ。
常連さんは、踏み込んでいるようで、踏み込んでいないんですね。
そこも聴く側の芸だったのでしょうね、お見事という調和がありました。
ラジオ話芸の場合は、放送ブース。
これを噺家に置き換えると、芸をご披露する舞台、つまり高座となるわけです。
☆高座はこわい
何年やろうと、芸を馬鹿にしちゃあだめですね。
やはり我々にとって高座へ上がるってことは神聖なものであって、恐れをなさなくちゃいけない。
床屋でも、カミソリを怖がらない床屋は怪我しますよ。
だからできる人ほど、カミソリをこわがります。
つまり、大事にする。
我々にとっても、やはり高座はこわいですよ。
いつ何時、どういうことが起こらないとも限らない。
どんな客が来てるとも限らない。
そう考えると、こわいですよ。
だから稽古に手が抜けないんです。
三遊亭圓生著(聞き書き)
浮世に言い忘れたこと
初版は講談社から1981年。
今は小学館から出て、お値段は本体価格500円+税となっております。
ご興味ある方はどうぞ。