大道芸~バナナのたたき売り

昨年、「大道芸人さんを観てきました」という記事を書きました。

ともかく、晤郎さんの愛した明治~昭和の芸の香りが、そこここに漂っていてたまらないのです。

そこで今年も、開拓の村へ行ってきました。

昨年は、ガマの油売り→紙芝居→南京玉すだれという構成でした。
ところが今年は、午前が昨年と同じ構成。
午後は南京玉すだれ→紙芝居→バナナのたたき売りという構成だったんです。

南京玉すだれは、安定の楽しさ。
南京玉すだれ

そして紙芝居は、午前が「恩讐の彼方に」
午後が「黄金バット」
紙芝居

作品は昨年と同じ。
やはり、「恩讐の彼方に」は昨年と同じ方で、悪人だろうが善人だろうが平時だろうが山場だろうが、大丈夫ですか??と心配になるほどの妙な演技の入った読み方。
しかも、子供たちが大勢来てるのに「切り殺された」だの「幼い女の子の恨めしそうな死に顔」だのやりたい放題。
更に、盲いた坊さんが夜に洞窟を手掘りしているときに何故かロウソクを灯しながらゲンノウを振り下ろしている不思議。

黄金バットを読んだ方は、安定の味。
こちらの、おじさんは、ああ紙芝居の名人芸はこれだよなと感じさせて下さる方です。
メリハリが効いていて、面白かったし堪能させていただきました。
紙芝居

そしてガマの油売り。
こちらの素浪人風のおじさまは、もう大好き。
怖そうな口調ながら、優しさがあふれていて、子供からも大人からも歓声が上がります。

例えば口上の途中、刀の切れ味を示すために紙を切っていくんです。

「一枚が二枚。
二枚が四枚。
四枚が八枚。
八枚が十と六枚。
十と六枚が、三十と八枚。
三十と八枚が、、、そこの少年、さて何枚になる?」

(そう聞かれた少年がちょっと迷って大声で答える)
「五十枚!!」

その回答を聞いてガマの油売り。
「五十、、、、ううむ、そうかも知れぬ。」

こういうやり取りがもうたまらないんです。
ガマの油売り

そして今年はついに、買ってしまいました。
ガマの油

さてさてそして、午後の部のバナナのたたき売り。
明治時代後期に、台湾から日本にバナナが輸入されるようになった時。
当時は保存が上手くできなかったので傷みが早かった。

それで廃棄するより幾らかでも売ってしまおうと始まったのがこのバナナのたたき売りでした。
啖呵売とも呼ばれる露天商の技でありました。
福岡の門司港が発祥の地で、映画の寅さんでもお馴染みですよね。
ということで初めて見るのでワクワクしてたら、、、
あら???
バナナのたたき売り
あらあら???
ガマの油売り
(≧◇≦)

このバナナのたたき売り。
セリ下げと言いまして、まずは買いそうにも無い高い値段から始めて、口上を述べながら値段をだんだん下げて行くんですね。
おじさんが手にしてる一房、私は200円ぐらいになったら買おうかなと構えてました。

おじさんの口上の途中で、「買った!」と大きな声で伝えれば、その時点の値段で買えるんですね。

そこでおじさん、「さあ、まずは千円からだ!」と言った瞬間。
「買った!」
「買ったぁ!」
「買ったっっ!!!」
おいおいおい子供達、一房千円だぞ(≧◇≦)
おじさんも驚いてました。

ほんとに1000円で買うの?っておじさん、聞いてましたもん。
そうしたら、お子さんも親御さんも、買いますって、、、楽しすぎ(≧◇≦)♪
バナナのたたき売り

最初のバナナが破格の千円で売れてしまって、バナナ売りのおじさん、自慢の口上が披露できない。
そこで興奮して目をキラキラさせて見つめる多くの子供たちを落ち着かせるように、おじさんが再び説明。

おじさんが「いいかい、値段を下げていくから、これだ!と思ったときに声をあげるんだよ。」

仕切り直しにと、おじさん、再びバナナのたたき売りに入った。
しかも親切に、初めは高く始めるから慌てちゃいけないよと、もう一回言葉を入れて。

「物の始まりが1ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島。
泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、博打打ちの始まりが熊坂の長範。
始めばかりじゃ話にならぬ。
どうだい?
にっこり笑ってまずは千円!」
「買った!」
「買ったぁ!」
「買ったっっ!!!」

また千円だ~~~~(≧◇≦)
しかも子供達もその親御さんも、買う気満々両目がキラキラ(≧◇≦)

子供達は、高い高いバナナが買えて満足そうだったし、そういう子の笑顔みてたら、親御さんもおじいちゃんおばあちゃんも、そして周りのみんなも、実に楽しそうでしあわせで。

もう混沌です。
次も千円で売れてましたから。

おじさんも、弱ったなぁ、腕の見せ所がねぇじゃねぇかって。

ちなみにおじさん、バナナの叩き売りは「言葉を汚く使わないと雰囲気出ないからね」と事前に子供達に断わっておられました。
ステキでしょ。
バナナのたたき売り
まぁとにかく、楽しかった。
素晴らしい芸は、時代を経てもまったく色褪せないものなんだなと、本当に嬉しい時間でありました。
あ~、やっぱり晤郎さんの外郎売、こういう場所でも聴きたかったなと見上げれば、青空にはためく鯉のぼり。
鯉のぼり

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