映画:グリーンブック
☆アカデミー賞受賞作品
2018年の作品です。
日本公開は2019年3月。
日高晤郎さんが旅立たれて11ヶ月後であります。
舞台は、まだ黒人差別が色濃かった1962年のアメリカ。
アフリカ系のアメリカ人でクラシック系の天才ピアニストであるドン・シャーリーは、特に人種差別が色濃く残る中西部と最南部を巡る8週間のコンサートツアーを企画。
そこで運転手兼ボディーガードを務めてくれそうな人材の募集を始め、目に留まったのがイタリア系移民で粗暴なナイトクラブの用心棒、トニー・リップ。
ただ困ったことに、トニーは無教養で、おまけに激しい黒人差別意識を持った男だということ。
そんな二人が巡るツアー。
ドンの所属するレコード会社から渡されたのは一冊の冊子「グリーンブック」
このグリーンブックとは、当時黒人が使う事が許されたガソリンスタンドや宿、そしてレストランなどが記された自動車旅行者用のガイドブックの事。
さてさて。
その8週間のコンサートツアーで、何が起こったのか。
そしてドンとトニーに起こった変化とは。
私は存分に堪能できました。
本当に観てよかったと大満足。
桜桃の味は砂利の味の大後悔を一気に打ち消してお釣りがくるほどの上質な余韻。
そしてこの作品。
実話が基になっておりまして。
二人とも実在の人物です。
なので余計な批判もあると聞きました。
史実に完全に即していないと。
確かに微細な部分では、脚色もあるのでしょうが、それは些末な事です。
この作品はドキュメンタリーではなくて、史実を基にした作品なのですから。
軸が正しく伝わるのなら、そういう脚色は有りでしょう。
例えば、トニーと出会うまで、ドンがフライドチキンを食べたことが無いなど。
そんなところにいちいち文句付けるなら、桜桃の味を存分に批判してくださいと思う。
あの作品は、でも叩きようがないくらいによく分からない作品でしたが。
さてさて。
面白い話をもう一つ。
この作品の脚本家の一人が、ニック・ヴァレロンガ。
その父が、フランク・アンソニー・ヴァレロンガ・Sr。
このフランク・アンソニー・ヴァレロンガ・Srは俳優で、デビュー作はあのゴッドファーザーであります。
フランクが当時勤めていたナイトクラブ「コパカバーナ」で、映画監督のフランシス・コッポラを知己になったのが俳優としての第一歩となりました。
このフランク・アンソニー・ヴァレロンガ・Srの愛称が、トニー・リップ。
そう。
作中の、イタリア系移民でドライバー兼ボディガードの、あのトニー・リップです。
つまりグリーンブックは、息子が伝えたかった父親像でもあるのでしょうね。
ニック・ヴァレロンガ、素晴しい作品をありがとう。